
老後に必要なお金は数千万円、年金はあてにならない…だから「老後のために今から資産運用をしましょう!」と、よく見聞きしますね。
しかし定年を迎えるまで、年金を受け取れるまでの期間や現在の働き方、受け取れる年金の額、現在の働き方、家族構成は人それぞれです。そのため「あなたの」老後にいくら必要なのか、今から貯める・増やすべき金額も人それぞれです。
今回は老後のための資産運用について考えたいあなたに、年齢にあわせたおすすめの書籍を5冊、紹介します。
年金のしくみや将来受け取れる年金額を知り、蓄えておくべき金額を知って具体的なアクションを取っていきましょう。
35歳から創る自分の年金

著者:是枝 俊悟
出版社:日本経済新聞出版
30代向けに年金についてくわしく書かれた1冊です。
将来もらえる年金に不安はあるものの、年金について実際よく分からない人、老後のためにどれぐらいの蓄えが必要なのか知りたい人にぴったりです。
ポイント1:年金のことがよく分かる
本書では公的年金、とくに厚生年金と国民年金についてくわしく解説されています。企業に勤めている人と自営業の人では加入する年金が違います。各年代で受け取れる年金の額の試算も紹介しているため、今まで年金についてぼんやりとしていた人もより具体的な数字で捉えられるようになるでしょう。年金についてまず知ることで、「年金は頼りにできないのでは」という漠然とした不安を解消できます。
ポイント2:老後のために必要な蓄えと取るべき行動を考えられる
「35歳」は仕事や家庭の方向性が見えてきて、老後への意識も芽生える年齢です。同時にまだまだ働き方もライフスタイルもじゅうぶんに変えられる年齢です。
「老後のためにそろそろ投資しなきゃいけないのかな…でもどうすればいいのか…」と具体策が分からない人もいらっしゃるでしょう。本書は豊かな老後を送るために必要な蓄えや、資産形成の方法、働き方などを教えてくれます。
筆者はこの本の執筆時、まさに35歳でした。筆者があなたに寄り添い、一緒に考えてくれているような心強さも感じます。
40代からのお金の教科書

著者:栗本 大介
出版社:筑摩書房
40代が知っておくべきお金まわりの知識がまとまっています。
お金について今まであまりよく考えてこなかった人、定年後に向けたお金に関するアクションを起こす必要性を感じている人におすすめです。
ポイント1:65歳に向けてやるべきことが分かる
本書はご自身の将来を具体的に想像し、お金のトラブルを回避する方法を教えてくれます。
40代はお子さんの教育費や住宅ローン、介護費用、老後の準備、相続トラブルなどが現実的になってくる年代です。また自己破産がもっとも多いのも、40代。原因は低所得や生活苦です。
この本でいう「お金まわりの知識」は「生活に必要な収入や支出、金融資産やローンなどと適切に向き合うために役立つ知識」として、今からできるアクションを紹介してくれます。
ポイント2:具体的な事例から学べる
FPである筆者が140名以上の個別面談を経て得た「これだけは知っておきたい情報」が厳選して書かれています。この本に登場する人のなかには「このままだと60歳になる前にお金が足りなくなる」という現実を知って生活設計を見直した方も。
40代は「もう遅い」年齢ではなく「まだ間に合う」年齢です。しかし教育費や介護費用などで貯蓄が難しい「耐え時」もあるでしょう。筆者は耐え時と貯め時のタイミングに応じて、そのときできることをコツコツ続けていくことが大切だと説いています。支出を見直すポイントや介護や相続のポイントなども分かりやすく解説している1冊です。
まだ間に合う! 50歳からのお金の基本

著者:坂本 綾子
出版社:エムディエヌコーポレーション
こちらは50代を対象に書かれています。保険の見直しや資産運用で投資信託を考えている方、ご自身の資産の引き継ぎ方もそろそろ考えていきたい方にとって有益な1冊です。
ポイント1:図やイラストが多く、なにをすべきか分かりやすい
マネープランを立てるにあたって、目標の設定と同じぐらい現状の把握も大切です。把握するヒントとなる源泉徴収票や確定申告書類の見方をご存知でしょうか。
本書はとにかくカラーの図やイラストが豊富なため、なにをどうすればいいのかがひと目で分かりやすくなっています。お金の「基本」とあるように、お金を蓄えることや引き継ぐことに関してとにかくなにかスタートを切りたい50代の方にはうってつけの1冊といえるでしょう。
ポイント2:リスクを抑えたマネープランを学べる
人生100年時代と考えれば、50歳はちょうど折り返し地点です。しかし働き盛りは過ぎていて、一般的には、今後得られるお金は先細りしていくでしょう。またお金を引き継ぐことも視野に入ってくるかもしれません。そうなればお金を増やそうにもあまりリスクは取りづらいものです。
人生の後半、自分の暮らしをデザインしていくための現実的なマネープランを教えてくれる1冊です。NISAの活用法や年金の受け取りを始める時期、保険の見直しやこれからの資産運用に適切な金融商品なども解説しています。
55歳からでも失敗しない投資のルール ーー世界の超富裕層は、なぜこの基本を大切にするのか?

著者:五十嵐 修平
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
本書は50代後半、いわゆる「アラ還」向けに書かれています。
投資で失敗した経験があり、退職金の運用を積極的に考えられない人や、そもそも退職金をどう運用すればいいのか分からず悩んでいる方におすすめです。
ポイント1:投資はギャンブルではないという意識を持てる
50代後半ともなると、ある程度の貯蓄や投資の経験がある人も多いでしょう。しかし一度投資で損をすると「投資はギャンブルだ」、「損をするからもう二度とやらない」など、ネガティブな印象が根づいてしまいやすいものです。
その印象はもしかしたら金融機関の営業員にも原因があるかもしれません。本書の著者はIFA(独立系FP)です。IFAとは証券会社や保険会社といった金融機関に属さない、中立的な立場のFPです。金融機関による偏りなく投資について書かれており、投資に対する意識を変えてくれるでしょう。
ポイント2:退職金の正しい運用方法が分かる
投資についてマイナスの印象があっても、退職金というまとまった金額となればやはり「運用」の二文字が頭をよぎるのではないでしょうか。
本書は資産運用に強いIFAの立場から、銀行や証券会社に相談する前に知っておきたい知識を解説しています。具体的な事例から退職金の正しい運用方法を学べます。
老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門

著者:西崎 努
出版社:アスコム
こちらの書籍も50代以上からシニア世代に向けた1冊です。
金融機関を信用できない方、「儲ける」よりも「減らさない」運用方法を知りたい方に適しています。
ポイント1:シニア投資のポイントが分かる
これから資産を築いていく現役世代と、貯蓄や退職金などで資産を築いてきたシニア世代は、投資に対するニーズも考え方も、最適な金融商品もまったく異なります。
口座に多額の預貯金を持つ50代・シニア世代は金融機関の格好のターゲットになりやすい存在です。銀行や証券会社など金融機関の営業員は、自社の利益をあげるために手数料を稼がなければなりません。そのため「あなたに」おすすめの商品ではなく「金融機関が販売に注力」している商品や、短いスパンでの売買を勧められるかもしれません。
本書を読めば「ガンガン儲ける」よりも「減らさない」投資方法と、投資で見落としがちな「隠れリスク」や「隠れコスト」が分かります。
ポイント2:債券投資の知識が身につく
金融機関に資産運用の相談をすると多くの場合おすすめされるのが投資信託です。しかし本書ではシニア世代には債券投資が適しているとして、金融機関があまり勧めてくれない「債券」をくわしく取り上げています。
また逆に買ってはいけない金融商品についても触れています。「守り」に特化した運用方法を学べる1冊です。
まとめ
老後に向けた資産運用といっても、備えはじめる年代によって適切な手段が異なります。今回は年代別に資産形成を学べる書籍を5冊、紹介しました。
投資の基本は「長期」の運用です。早くはじめるほどリスクも低く資産を運用できます。本を読んで学びを得たら、ぜひすぐにアクションを起こしてみましょう。
今回紹介した書籍の要約はパーソナライズした「お金と投資」の学習アプリ「Bibro」にて読むことができます。ぜひ利用してみてください。