
投資を長く続けていけば良い相場も、悪い相場も経験するでしょう。もし保有している銘柄の値段が下がってしまっても、感情的にならずに投資の判断をするためには、自分の投資スタイルや判断軸をしっかりと持っておくことが肝心です。
今回は有名な投資家の考え方を学べる本を3冊厳選しました。偉大な先輩たちから学び、自分なりの投資軸を定める手助けにしてみてください。
また紹介する書籍に登場する投資家を先に知りたい方はこちらからご覧ください。
1. 伝説の7大投資家

著者:桑原 晃弥
出版社:KADOKAWA
偉大な投資家たちの考え方を広く知りたい方におすすめです。とくに株式投資を長期でおこないたい方には学びが多いでしょう。
ポイント1:偉大な投資家について知るきっかけになる
7人の偉大な投資家たちの生涯や実際のエピソードを通じて、それぞれの投資に向き合う姿勢を学べます。新書で240ページとそれほど分厚くなく、いろいろな投資家の考えを浅く広く学べるため、取っかかりとしてちょうどいい1冊です。
この本を読んで興味を持った人物がいれば、さらに個別に本を読むなど深く知っていくと良いでしょう。本書で紹介されている投資家は次の7人です。
- ジェシー・リバモア
- ジョージ・ソロス
- ジム・ロジャーズ
- フィリップ・フィッシャー
- ピーター・リンチ
- ウォーレン・バフェット
- ピーター・リンチ
ポイント2:株の長期投資について、原点となるマインドを学べる
本書で紹介される7人のうち「株を買って長く保有する」スタンスの投資家が多くみられます。数年先、10年先、数十年先を見据えた株式投資を考えている方には、銘柄の選び方や投資スタンスなど学びの多い1冊といえるでしょう。投資の初心・原点に立ち返るための1冊としてもおすすめです。
2. 史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール

著者:メアリー・バフェット 、デビッド・クラーク 翻訳:峯村利哉
出版社:徳間書店
株式投資において、企業の業績や財務状況を銘柄選びの材料にしたい人、数字が好きな人、またウォーレン・バフェットの投資手法を学びたい人におすすめです。
ポイント1:財務諸表の読み方がわかる
財務諸表とは企業の財務状況を記した書類です。おもに次の3種類があります。
- 貸借対照表(B/L)→資産や負債の状況が分かる
- 損益計算書(P/L)→経営の状況が分かる
- キャッシュ・フロー計算書(C/F)→現金の流れが分かる
こうした書類のどこに目をつければ良いのか、バフェット流のポイントがまとめられています。具体的な企業を例として取り上げており、読みながら頭の中でイメージしやすい点が特徴です。
財務諸表のすべてについて解説されているわけではないため、自信がない方は財務諸表についての入門書を先に1冊読んでおくのもおすすめです。
ポイント2:ウォーレン・バフェットの銘柄選びが分かる
バフェットは割安な株を長く保有するスタイルで有名です。またコカ・コーラやアップル、アメリカン・エキスプレス、最近では日本の5大商社など、誰もが知るような大企業への投資も多い人物です。バフェットのスタイルに共感できる方は深い学びが得られるでしょう。
逆にデイトレーダーのように頻繁に売買を繰り返したい方や、ベンチャー企業に投資してみたい方は投資のスタンスが大きく異なるため、あまり参考にならないかもしれません。
3. 史上最強の投資家バフェットの教訓-逆風の時でもお金を増やす125の知恵

著者:メアリー・バフェット、デビッド・クラーク
原著:Mary Buffett、David Clark
翻訳:峯村利哉 出版社:徳間書店
投資マインドだけでなく、ビジネスやキャリアなども含めたバフェットの考え方を知りたい方、自己啓発や名言にも興味がある方におすすめです。1トピックごとのページ数が少ないため、気軽に読めます。
ポイント1:ウォーレン・バフェットの投資術だけでなく、人生訓も学べる
こちらもバフェットに関する書籍です。2でご紹介した本が銘柄選びの「ハウツー」に近いとしたら、本書は「自己啓発」に近い内容です。バフェットは偉大な投資家であり、同時に経営者でもあります。バフェットが経営する会社の株主総会には、彼の話を聴きたいと数万人の株主が集まるそうです。本書はそんな彼の、ビジネスや経営、キャリアに関する考え方にも触れられる1冊です。
ポイント2:ウォーレン・バフェットの考えをより深く理解できる
バフェットの名言はインターネット上でもたくさん公開されています。しかし名言の紹介にとどまり、解説がないケースもしばしば見られます。そのため「なんとなく」の理解にとどまってしまうことも多いでしょう。
本書ではバフェットの名言だけでなく、彼に親しい人物による解説も書かれています。バフェットの考え方をより深く理解できるようになっています。
紹介した書籍に登場する偉大な投資家7人
今回紹介した3冊の書籍で取り上げられている偉大な投資家7人について、1人ずつ簡単に説明します。
1. ジェシー・リバモア(1877年~1940年)
7人のなかではもっとも古い時代の人物です。1929年10月、アメリカではバブルが弾けて大恐慌が起こりました。リバモアは当時の相場の異変にいちはやく気づき、1億ドル以上の利益をあげたといわれています。
「ウォール街のグレートベア」と呼ばれたリバモアですが、実は4度の破産を経験しており、4度目の破産後には悲惨な最期を迎えました。
2. ジョージ・ソロス(1930年~)
「三大投資家」の1人です。1973年に「クォンタム・ファンド」の運用を始め、10年間で40倍以上に成長させました。そのため「世界一のマネー・マネージャー」と呼ばれています。また1992年には多額のイギリスポンドを売却し、「イングランド銀行を潰した男」として知られることになりました。
2011年にはファンドの運用から引退し、現在は政治運動家、慈善活動家としても活動しています。
3. ジム・ロジャーズ(1942年~)
ジム・ロジャーズも三大投資家の1人です。また、ソロスとともにクォンタム・ファンドを立ち上げた、共同設立者でもあります。投資においては下調べと分析を徹底し、クォンタム・ファンドでも大きな実績をあげました。
1980年には仕事を引退。世界中をバイクや車で旅しており、「冒険投資家」としての顔も持ちます。走破した距離はギネス記録にも認定されました。
4. フィリップ・フィッシャー(1907年~2004年)
フィッシャーは企業の成長性や競争力を重視する「成長株投資」の創始者で、「バフェットのもう1人の師」ともいわれています。企業の価値を評価する「15の質問」を提唱し、彼が保有した銘柄は何十倍、何百倍に成長しました。
1955年に購入した銘柄を亡くなるまで一度も売らなかったという逸話もあります。
5. ピーター・リンチ(1944年~)
リンチは「マゼラン・ファンド」の運用を担うファンドマネージャーでした。マゼラン・ファンドは13年間で777倍にも成長し、金融メディアからは「レジェンド」と称されます。
「自分が知っているものに投資する」を原則として、独自の視点で割安な銘柄を発掘してきました。結果「テンバガー(10倍株)」という言葉を生み出した人物でもあります。
6. ウォーレン・バフェット(1930年~)
三大投資家の最後の1人です。2022年の世界長者番付では5位にランクインし、「世界一の投資家」、「オマハの賢人」などの異名を持ちます。
バフェットは「バリュー投資」を実践しており、実際の価値よりも割安と判断した銘柄を購入します。毎年目覚ましい成果をあげつづけているため、こうした異名を持つようになりました。
世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務め、投資以外の面でも大きな影響力がある人物です。
7. ベンジャミン・グレアム(1894年〜1976年)
バフェットが「生涯の師」と仰ぐ経済学者です。バフェットが実践する「バリュー投資」の創始者として知られ、「バリュー投資の父」とも呼ばれます。
グレアムの著書『賢明なる投資家』は今から70年以上前の1949年に出版されて以来、今でも多くの人々に読まれています。バフェットを育てた彼の考え方は現代にも息づいています。
まとめ
常に動き続ける相場の世界で一喜一憂しないためには、投資に対する判断軸や自分のルールを持っておくことが大切です。卓越した成績をあげてきた投資の偉人達の考え方を学び、少しずつ自身の投資に取り入れていくとよいでしょう。
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