投資先を1つに絞る「小型株集中投資」 銘柄の選び方や売り時の目安

「長期・積立・分散」が、初心者向けの投資手法として紹介されるのをよく見かけます。しかし、個人投資家・遠藤洋さんは、投資先を1つに絞った「小型株集中投資」で大きなリターンを出しました。

投資家でありながら、投資コミュニティixiを主宰し、講演会なども行う遠藤さんの元へ、投資ノウハウを求めに来る個人投資家も少なくないといいます。

「小型株集中投資」はどういったものか、その投資方法や考えについて、遠藤さんに話を伺いました。

集中投資を始めたきっかけ

会社員に10や20もの銘柄を管理するのは無理

少ない銘柄に集中投資をする遠藤さんですが、投資を始めた当初は分散投資を行っていたといいます。

「初心者向けの投資本に書かれているとおり、私も分散投資をしていました。10や20など、様々な株銘柄に投資しましたが、管理が非常に難しかったです。投資してから数か月経ったとき、『あれ?なんで会社の株買ったんだっけ?』と思うことも多々ありました。」

今では100人以上もの人が集まる投資コミュニティ「ixi」の主宰を務める遠藤さんですが、

元々は10人ほどの個人投資家が集まる月1開催の勉強会からのスタートだったそうです。

コミュニティの参加者の中には、昔の自分と同様の失敗をする人も多くいたといいます。

「私より投資経験の長い個人投資家も勉強会に参加していました。その方に話を聞くと、100ほどの銘柄に分散投資をしているそうなのですが、どの株に投資をしているのか、ご自身でも全く把握できていませんでした。投資をする時はしっかりとその会社について調べますが、投資をした後もしっかりとその会社の業績を追えるかというと、必ずしもそうではありません。

特に会社員を続けながらだと、ついつい日常の業務に追われ、保有している株のケアをする時間がなかなか取れなかったりします。」

多くの銘柄に分散投資をしていると、尚更全ての銘柄を管理するのは至難の技です。

しかし、たった1つの会社への集中投資なら、管理できなくなってしまうことはありません。

「私が分散投資をしていた時は、トータルの損益がイマイチ伸びませんでした。可もなく不可もなくといいますか。そんなとき、思い切って保有する銘柄を1つに絞って投資したところ、急にパフォーマンスが良くなりました。分散投資のメリットは理解できるものの、個人投資家にはそれが当てはまらないと確信しました。『卵は一つの籠に盛るな』という格言もありますが、私は『卵はすべて一つの籠に盛れ。ただし、どの籠に盛るかを死ぬ気で選べ!』という考え方を、投資を始めたばかりの個人投資家にお勧めしています。」

集中投資が成功したミクシィ

「勉強会を始めたのが、ちょうどスマホが一般的になってきたころです。当時の勉強会ではスマホゲームを提供するガンホーオンラインエンターテイメントやミクシィについて深く分析していました。当時はこういったスマホゲームにみんながハマっている時代でした。

ちなみにこの時、ミクシィの株価が大きく上昇し、1年で資産が7倍になったことは今でも印象に残っています。」

集中投資「銘柄の選び方」

まずは仕事や趣味など自分が詳しいジャンルで

遠藤さんが投資を行う際、銘柄はどう選んでいるのでしょうか。

「世の中で注目を集め、需要が増えている商品やサービスに目を向けます。まずは自分の仕事で携わっている業界や趣味から探すと良いでしょう。例えば、私の場合は会社員時代、仕事の一貫でスマホアプリの調査をしていました。当時人気を集めていたゲームなどを一通りダウンロードして実際にプレイしてみたら、僕自身がハマってしまったゲームがありました。

普段はあまりゲームをしない僕がハマったゲームこそが『パズドラ』でした。

その後、パズドラを提供していたガンホーオンラインエンターテイメントの株価は1年で70倍ほどになりました。

また、当時は仕事の一貫でスマホ向けの広告なども担当していたので、その業界にも詳しくなりました。注目していたスマホ広告を専門に取り扱う『ファンコミュニケーションズ』という会社の株価が、1年で2~3倍になったのもよく覚えています。」

世の中のお金の流れを把握する

世の中のお金の流れを把握することが、銘柄選びに直結すると遠藤さんは語ります。

「2020~2022年に世界中で流行した新型コロナウイルスによって、世の中の人の動きは大きく変化しました。例えば、コロナが蔓延した最初の頃は世界中で人々が外に出なくなり、飲食店やお店も閉めざるをえない状況になりました。

特に店舗を伴う飲食店は壊滅的な被害を受けました。一方、外に食べに行けなくても人はお腹が空きます。

その結果、外食産業は一気に業績が落ちましたが、デリバリーなどをやっている会社はものすごく潤いました。最近では外出規制も解かれ、街に多くの人が出るようになったので、飲食店の方にそのお金は少なからず動いているでしょう。

このように、人々の行動が大きく変化する時は、かならず業績が良くなる業種・会社が出てきます。それを予測するためには、人の動きや、お金の流れの変化を把握することが必要です。」

また、銘柄選びでは「企業成長の伸びしろ」にも着目することをもう1つのポイントとして挙げます。

「銘柄を選ぶときは、その企業が今後どれだけ成長するか、という伸びしろに注目しています。伸びしろにフォーカスした場合、歴史の長い大企業よりも、歴史の浅い小さなベンチャー企業のほうが投資した時に期待できるリターンが大きくなるといえます。

一つ例をあげましょう。

トヨタ自動車とテスラの比較をすると、市場のシェア率はトヨタが圧倒しています。しかしここ数年においては、テスラの株価の方がトヨタの株価よりも大きく上昇しました。その背景には10年後や20年後の未来では、テスラの方が成長するだろうという投資家の期待があるといえます。投資対象としては、そうした成長性のある企業に注目するようにしています。」

投資コミュニティ「ixi」で情報交換

投資は正しい情報とタイミングがとても重要です。 

「『ixi』では、私が注目している銘柄を例にとり、なぜその銘柄に注目したのか?そのプロセスをしっかりと共有しています。釣った魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるイメージでしょうか。また、一方的に情報を伝えるのではなく、メンバー同士が交流することで様々な投資情報をシェアできるようにしました。投資塾ではなく投資コミュニティにすることによって、メンバーからも有益な情報がシェアされる理想的な環境に育ったと思います。」

「売り時の目安」とは?

ビジネス環境の変化が激しい時代

遠藤さんの投資スタイルは投資期間が長くても数年といいます。

それは昨今のビジネス環境の変化が激しいことも影響しているそうです。

「株を購入してから手放すまでの期間は、数か月から長くても2~3年です。投資の神様と言われるウォーレンバフェットは『10年後も保有できる株を買いなさい』と言いますが、今の時代、10年後も同じような市場環境を維持するほうが難しいでしょう。テクノロジーの進化の速度が二次関数的に速くなっているため、せいぜい3年後の未来が、私たちの想像が及ぶギリギリの範囲ではないでしょうか。

もちろん業界によって成長のスピードの違いはあります。しかし、10年後も安心して持ち続けられる銘柄を探すことが困難になっていることは間違いないと思います。そうしたことを踏まえ、私は投資期間を最大でも3年程度に見据え、3年以内に3倍以上になりそうな小さい会社を見つけて、集中投資をするというスタイルをとっています。」

売り時の目安は時価総額で判断

株を売るタイミングはどう見定めているのでしょうか。

「株を売るタイミングは、時価総額をひとつの目安として活用しています。例えば時価総額300億円の会社に投資した場合、時価総額が1,000億円を超えたらそろそろ売るタイミングを探るというイメージです。

私自身の投資経験を振り返ると、日本の株式市場では時価総額が1,000億円を超えると、それまでと比べ急に伸び率が鈍化します。業界の市場規模にもよって異なりますが、多くの上場企業が時価総額1,000億円の壁を超えたあたりから、急に伸び率が鈍化してくる傾向があります。

株の売り時を考える基準として、企業の成長の限界がどこにあるのか?を見極めることも大事です。

例えば人気の出始めた飲食店が、全国を視野に次々と出店するケースがあります。

その店舗数が今何店舗くらいあって、最大どのくらい日本国内に展開が可能なのかを調査することで、『店舗数が○○を超えたら、そろそろ株を売るタイミングを考えよう』というように目安が見えてきます。 」

投資初心者が気を付けるべきこと

投資コミュニティ「ixi」は、約8割の人が投資初心者といいます。

投資の初心者に向けて教える際にはどういった点に注意されているのでしょうか。

「一番最初にお伝えするのは、投資は自己責任が大前提という点です。誰かの行ったことを鵜呑みにするのではなく、必ず自分の頭で考えて自分の責任で投資判断を下しましょう。 

投資した株が100%上がることはありません。必ず下がった時にどうするか?を考える。そうした資金管理もしっかりと身につけなければ、投資を続けることは難しいでしょう。」

初心者の中には損をするのが怖くて、投資を始めるのに躊躇する人も多いでしょう。

そうした人たち向けのアドバイスとして、

「投資を始めたばかりの時期は、確かに失敗をするかもしれません。最初は失敗しても立ち上がれるように、なるべく少ない資金で始めることが大切です。投資金額が小さいうちに様々な失敗を経験することは悪くないことです。失敗から学んで次の投資につなげましょう。

投資で一度も損をしないというのは不可能です。損失と利益を繰り返しながら、トータルで資産を増やしていくというのが投資です。」

投資を始めるタイミングはいつが良いのでしょうか。 

「結論から言うと『今この瞬間すぐにでも始めたほうがいい』です。

よく、今は相場が悪いから少し様子を見てから、と言う人がいるのですが、そういう人はいつまで経っても投資をはじめません。

また、投資で大きなチャンスを掴むことも難しいでしょう。

多くの人は株式市場が好調な時に参加しがちですが、本当に大切なのは今の相場にどうアプローチするかです。株が何もかも上がっている時は、確かにその場は利益が出やすいかもしれませんが、同時に割高で買ってしまう可能性が高いとも考えられます。

逆に相場が下降気味の時は、なかなか株が上昇しない期間が続くかもしれませんが、景気が好転した時に大きな利益を得るチャンスがあります。

相場が良い時に投資し、悪い時は触らないというのはあくまで時間軸を短くした場合の話です。今の相場や景気を気にせず投資を始め、続けた時間が長ければ長いほど資産を多く増やせる可能性が高いと私は思います」

大きなチャンスが訪れたときに、自分の資本を集中的に投資できるかどうか。それで数年後の資産が大きく変わると遠藤さんはいいます。小型株集中投資は、投資に割ける時間が限られた会社員にとっても、ひとつの選択肢になるといえるでしょう。


遠藤洋

投資コミュニティixi(イクシィ)主宰。株式会社キープライム代表取締役。東京理科大学を卒業後ベンチャー企業での勤務を経て26歳で起業。短期トレード20歳の時に投資を始め、最大年間利回り+600%、1銘柄の最大投資益+1,760%を達成。「半年で3倍になる小型株」への集中投資というスタイルで投資を行っている。

遠藤洋オフィシャルサイト

https://peraichi.com/landing_pages/view/endohiroshi/

投資コミュニティixi

https://official.ixi-online.com/

著書一覧

https://www.amazon.co.jp

最新情報をチェックする!