ETF投資の魅力と始め方

ETFは日銀も活用するメジャーな金融商品です。保険の運用でも多く使われており、「実は間接的にETFへ投資していた」という人も少なくないでしょう。

ETF投資の方法を知ることで、資産運用の選択肢は確実に広がります。ここでは、ETF投資を始めてみようと思った方のために、最低限押さえてもらいたいポイントを紹介します。

ETFは、投資信託の一種ではありますが、株式との共通点が多く、一般的な投資信託とは特徴が異なります。ETF銘柄の種類、投資方法などもあわせて紹介するので、ご自身の運用目的に応じて、どんな選択肢が適しているかを考えてみてください。

ETFと投資信託の違い

ETFは「Exchange Traded Fund」の略称で、日本語では「上場投資信託」と呼びます。文字通り、証券取引所に上場している投資信託のことで、個人投資家は株式のようにETFを売買できます。

では、ETFと投資信託ではどのような違いがあるのでしょうか? ここでは一般的な投資信託とは違うETFの特徴や魅力を紹介します。

ETFとは

ETFは投資信託であるものの、性格としては株式投資に近いといえます。投資信託と株式のいいとこ取りをしたものと表現すれば、分かりやすいかもしれません。

ETFおよび投資信託はいくつかの資産を組み合わせた商品ですが、上場しているか否かに違いがあります。

ETFの特徴は、日経平均株価などの株価指数(ベンチマーク)に連動するような運用を目指す、指数連動型であることです。

本来は「日経平均株価を買う」「NYダウを買う」というように、株価指数自体を買うことはできませんが、それとほぼ同じ意味の投資ができるようになります。

ETFと投資信託の比較

ETFは上場しており、株式と同じく証券会社を通じて購入できます。それに対し、一般的な投資信託は上場しておらず、証券会社や銀行、郵便局などの金融機関で購入することになります。

また、ETFは証券取引所の取引時間内に値動きする市場価格で取引しますが、投資信託は1日1回算出される基準価額で取引されます。主な相違点を、下にまとめました。

ETF投資信託
上場の有無上場非上場
購入場所証券会社証券会社、銀行、郵便局など
銘柄国内ETFならほとんどの証券会社で扱われている金融機関によって取扱い銘柄は様々
取引可能時間証券取引所の取引時間内販売会社が定めた時間内
取引価格市場価格(リアルタイムで変動)基準価額(1日1回算出)
信用取引できるできない
積立投資金額ではなく口数で行う毎月1000円など、金額指定による積み立てが可能

取引所のオープン時ならいつでも売買できる

ETFは株式のように、証券取引所の取引時間内であれば、いつでも売買できます。一般的な投資信託は、基準価額でしか取引できませんが、ETFなら株式と同じように相場を見ながらリアルタイムで何度も取引できます。

また、一部の証券会社では夜間取引も可能です(ルールは証券会社によって様々です)。

信託報酬が安い

ETFの保有中にランニングコストとして発生する信託報酬(投資信託を管理・運用してもらうための費用)は、一般的な投資信託よりも安いという特徴があります。

長期投資をする場合は、この手数料の差が運用結果の違いに結びつくので、こだわりたいポイントです。

ETF投資信託
購入時の費用売買手数料(証券会社ごとに異なる)購入時手数料(投資信託ごと、取扱金融機関ごとに異なる)
売却時の費用売買手数料(証券会社ごとに異なる)信託財産留保額(投資信託によっては無料の場合もある)
保有期間中の費用信託報酬(投資信託より安め)信託報酬(ETFより高め)

人気の理由と、注意すべきポイント

ETFに人気が集まるのには多くの理由があります。ここでは人気の理由と共に、リスクについても解説します。

少額分散投資が可能

少額の資金であっても、様々な資産への分散投資が可能となるのは、ETF特有のメリットです。

例えば、東証プライム市場(旧東証一部)上場の全銘柄を対象に算出・公表されるTOPIX(東証株価指数)と連動したETFを購入すれば、約2000社に分散投資するのと同じ意味になります。

その他にも国内債券、国内REIT(不動産投資信託)、海外株式、海外債券、海外REIT、コモディティなど様々な資産が投資対象となっています。

世界に投資できる

ETFは、日本国内だけでなく、世界の様々な金融商品に投資できる性格を持ちます。

成長著しい先進国株式、債券でありながら高利回りが魅力の新興国債券、ハイリターンが追求できるREITなど、本来ならば個人投資家にとってハードルが高い金融商品への投資が、ETFを購入するだけで可能となります。

知っておくべきリスク

ETFは、買ったときよりも価格が下がってしまう(元本割れする)可能性があります。ETF投資には、次のようなリスクを忘れないようにしましょう。

価格変動リスクETFが対象としている指数等の価格変動によって、基準価額が下落する可能性があります
信用リスクETFや、組み入れられた資産の経営・財政状況等の変化により、基準価額が下落する可能性があります
流動性リスク取引量や注文量が不足した場合には、市場実勢から乖離した価格で売買されるリスクや、売買が成立しない可能性があります
乖離リスクETFは指数に連動するよう運用されますが、様々な要因によりそれを達成できない可能性もあります

ETFの始め方

ETF投資を始めるには、どのように取引するか、どんな銘柄(投資対象)に投資するかを決め、その投資が可能な金融機関を選ぶと良いでしょう。

ETFでの取引スタイルを決める

ETF自体が分散投資の性格を持っていますが、「どの国の資産に投資するか」といった地域や投資対象は把握しておきましょう。

また、ETFも積立投資が可能です。

定期的に一定金額を購入する積立方法(ドルコスト平均法)を行えば、価格が高いときは購入口数が少なくし、価格が安いときは購入口数を多くすれば、平均購入単価を安くすることができます。

さらに、これを複利(利益を元本に加えて再投資)で長期間運用すれば、複利の効果により利益が雪だるま式に大きくなる期待を持てます。

その一方、短期的にETFの値上がり益を狙う方法も考えられます。株式のデイトレードのように、値上がりするタイミングを見計らい、安く買って高く売るのが基本です。こちらには、値上がりを捉える技術や経験が必要となります。

投資したいETFを探す

ETFを選ぶのは、連動する指数を選ぶのと同じ意味を持ちます。どの指数に魅力を感じるのかという観点が、銘柄選びに欠かせません。

指数のタイプとリスク・リターンの関係は、下図の通りです。

東京証券取引所には200銘柄以上のETFが上場しており、大まかに分類すると、下表のような5種類があります。

日本株指数型ETF国内の株価指数に連動するETF
外国株指数型ETF外国の株価指数に連動するETF
債券型ETF債券(国内債券・海外債券)に連動するETF
REIT(不動産投資信託)のETFREITの価格に連動するETF
商品・商品指数型ETF商品(コモディティ)価格に連動するETF

海外市場のETFという選択肢

ETFは国内だけではなく、NYSE(ニューヨーク証券取引所)やNASDAQなど海外の証券取引所にも多くのETFが上場しており、いまは日本からでも手軽に海外市場のETFを購入できる時代となりました。

海外ETFの市場は大きく、純資産や銘柄数は国内市場のおよそ10倍で、海外の市場を対象とするETFを購入するなら、そこに上場される“本場のETF”を取引する方がメリットはあります。

ETF投資に慣れてきたら、選択肢のひとつとして検討してみてもよいでしょう。

税制優遇制度(NISA・つみたてNISA)

ETFへの投資は、NISA、つみたてNISAといった税制優遇制度(運用益が非課税、投資枠に上限あり)の対象です。

対象銘柄は金融庁が定めた条件を満たすものに限られます。

NISA非課税期間は最長5年間、年間非課税投資枠は120万円(最大600万円)
つみたてNISA非課税期間は最長20年間、年間非課税投資枠は40万円(最大800万円)

証券会社を決めて口座を開設

ETFは、証券会社によって銘柄数や手数料などが異なります。大手店頭証券でも、ネット証券でも取扱いがありますが、ネット証券の方がコストを抑えられる傾向にあるため、まずはネット証券をメインに口座開設する証券会社を探してみるといいでしょう。

まとめ

ETFは1つの銘柄を購入するだけで、様々な金融資産、世界の国・地域に分散して投資できます。一般的な投資信託でも分散投資は可能ですが、同じような投資対象でもETFの方が手数料が安いケースもあります。

投資信託とは違うETFのメリットを把握し、運用目的に応じて使い分けてみるのもいいでしょう。

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