
本記事では、つみたてNISAを始めてみようと思った方のために、最低限押さえてもらいたいポイントを紹介します。
まず、なぜつみたてNISAで投資するのか、しっかりと理解して運用することです。
つみたてNISAは節税の制度であり、「つみたてNISAだから安心な投資」になるというわけではありません。どのような商品に投資するのかを理解した上で、つみたてNISAの制度を活かすようにしましょう。
次に、つみたてNISAを始める準備を整えることです。つみたてNISAは一人1口座のみ開設可能で、対象となる金融商品は一定の範囲に限られています。
そうした情報をまとめていくので、ご自身の環境やライフプランに応じて、どんな選択肢が適しているかを考えてみてください。

つみたてNISAの魅力
つみたてNISAは、NISA(少額投資非課税制度)から派生した税制優遇制度です。従来のNISAにあったいくつかの制約を取り払い、投資初心者でも始めやすい内容になっています。
この制度を利用する場合の投資対象は、金融庁が定めた基準を満たす、厳選された投資信託およびETFに限られるため、投資初心者でも安心して始めることができます。
運用益に税金がかからない

つみたてNISAは、運用によって得た利益が非課税となる制度です。詳しくは後述しますが、最長20年間、年間40万円(最大800万円)までの非課税投資枠に関して、その運用益が非課税となるのが特徴です。
本来であれば、投資の利益分に対し20.315%の税金がかかるので、お得な制度だといえます。
少額から投資できる

金融機関によって異なりますが、1回の最低積立額が100円や1000円に設定されるのが一般的です。また積立頻度として、毎日・毎週・毎月から選べます。
積立金額は途中で変更できるので、最初は無理のない金額で始めて、慣れてきたら少しずつ増額していくやり方も可能です。
商品が厳選されている

つみたてNISAの対象商品となる投資信託・ETF(上場投資信託)は、長期・積立・分散投資に適した一定の要件を満たす201本(2021年11月時点)に厳選されています。
数ある投資信託・ETFの中から、「複雑な商品設計のもの、手数料の高いもの、運用期間が短いもの」などは対象外となり、初心者でも投資しやすいラインナップが揃っています。
自動積立なので手間がかからない
つみたてNISAを利用する場合、「積立」の投資方法しかできません。利用する金融機関の口座において自動積立で運用されます。
設定したタイミングで自動的に購入する仕組みになっているので、売買すること自体の手間を省けるのがメリットです。
いつでも解約してお金を引き出せる
つみたてNISAは長期投資を前提としているということで、「途中で解約できないのでは?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、解約に制限はなく、積み立てた資産を任意のタイミングで売却しいつでもお金を引き出せます。
つみたてNISAと一般NISAの相違点
つみたてNISAも一般のNISAも、投資初心者が気軽に利用できるお得な少額投資非課税制度ですが、どちらが自分に向いているでしょうか? ここでは両者の主な違いを解説します。
つみたてNISA | NISA | |
加入資格 | 20歳以上 | 20歳以上 |
税制優遇 | 運用益(売却益や配当金)が非課税 | 運用益(売却益や配当金)が非課税 |
非課税期間 | 最長20年間 | 最長5年間 |
年間非課税投資枠 | 40万円まで(最大800万円) | 120万円(最大600万円) |
投資対象商品 | 一定条件を満たした投資信託・ETF | 株式・投資信託・ETF・REIT |
投資方法 | 積立投資のみ | 一括投資・積立投資のどちらも可 |
解約・引き出し | いつでも可 | いつでも可 |
非課税で投資できる期間と上限額が異なる

年間で運用できる金額はNISAの方が多いですが、最終的な金額はつみたてNISAの方が多くなります。
比較的短期で運用益を得たいならNISA、長期的な資産形成に取り組みたいならつみたてNISAという使い分けも可能です(NISAとつみたてNISAの併用は基本的に不可)。
投資対象となる金融商品が異なる
一般NISAは、株式・投資信託・ETF・REITなどさまざまな商品から選択できますが、つみたてNISAは一定の要件を満たした投資信託とETFに限られます。
国内外の個別株式やREIT(不動産投資信託)への投資を考えているなら、つみたてNISAではなく一般NISAを選ぶ必要があります。
投資方法が異なる
つみたてNISAは積立投資のみですが、一般NISAでは好きなタイミングにまとまった金額を購入する「一括投資」も可能です。
しかし、初心者が投資を行う場合、「長期・積立・分散」のスタイルで行う人も多いです。
その理由は、定期的に一定の金額を購入する積立方法(ドルコスト平均法)は長期投資と相性が良く、複利運用(利益を元本に加えて再投資する運用)をすることで雪だるま式の利益増が期待できるためです。

つみたてNISAの始め方
つみたてNISAの口座は、一人につき1口座の申し込み・開設ができます。どんな商品に投資するか、どの金融機関を利用するかは、慎重に考えてから決める必要があります。
どの商品を運用するかイメージする
まずはどの商品を購入し、運用するのかをイメージしておきましょう。大切なお金を定期的に積み立てていくのだから、購入する前に商品への理解をしっかり進めておくことは非常に重要です。
つみたてNISAの投資対象となる「投資信託」や「ETF」は、さまざまな投資対象資産の組み合わせから構成されるため、「どのような資産に投資されるのか」という点に絞って、商品を選ぶ方法もあるでしょう。
また、運用スタイルも商品を選ぶ際のポイントです。投資信託の運用方針は大きく2つに分けられ、日経平均などの指数と値動きが似た動きをするように運用を目指す「パッシブ運用」と、ファンドマネージャーの独自の視点により、高い運用成績を目指す「アクティブ運用」です。
こうした運用方針などは、目論見書に記載されているので、商品選びの際には必ず確認するようにしましょう。
金融機関を選ぶ際のポイント
金融機関によって取り扱う商品などに差があり、どこでも同じサービスが受けられるわけではありません。そのため、主に次のポイントを押さえて、金融機関を選ぶことが大切です。
商品ラインナップ | 基本的に、取扱商品の数は銀行よりも証券会社の方が多くなっています |
最低積立額 | 100円から積立可能な金融機関もあれば、1万円からと若干ハードルが高いところもあります |
積立頻度 | 積立の頻度としては毎月1回が一般的ですが、金融機関によっては毎週や毎日を選ぶことも可能です |
まとめ
つみたてNISAは、投資初心者でも無理のない範囲で積立投資ができ、さらに非課税のメリットを享受できる制度です。
投資信託やETFで積立投資をしようと考えているのであれば、この制度の利用を検討する価値は多いにあるでしょう。
ただし、節税ができるといっても、「他の投資商品よりリスクが下がる、安全」ということではないので、どのような投資を行うか、どういった金融商品に投資するか、ということはしっかりと調べ、理解した上で始めるようにしましょう。