
本記事では、個別株への投資を始めてみようと思った方のために、最低限押さえてもらいたいポイントを紹介します。
まず、個別株投資の特徴について、しっかりと理解した上で運用することです。購入資金の10倍以上のリターンを得られる可能性もあれば、投資した資金が0になるリスクもあります。
次に、個別株を始める準備を整えることです。どのくらいの資金で、どんな利益を求め、どのような種類の株を狙うのかなど、事前にしっかりと投資方針を決めておく必要があります。
そうした情報をまとめていくので、個別株投資を始める上での参考にしてください。

個別株投資の魅力
一般的に投資というと、株式(個別株)を連想する人が多いのではないでしょうか。日本では今も昔も投資の王道として人気を集めています。ここでは、そんな個別株の基礎知識をまとめます。
株式とは何か?

株式とは、会社が資金調達するために発行する出資証券のことです。お金を出してくれた人に対して渡す証明書(株券)のようなものとイメージすると分かりやすいかもしれません。
株式を保有した人は株主となり、その対価として議決権を得たり、株主優待を受けられたりします。
また、その会社が利益を上げたときには配当金がもらえる他、会社が成長して株式の価格が値上がりしたときには、その株式を売却して利益を得ることもできます。
値上がり益
株式投資で利益を出すという場合、最も連想されるのがこの値上がり益でしょう。株式を買ったときよりも高い価格で売却できれば、その差額が利益になります。
投資信託などよりも、価格の上昇幅が大きいケースも散見されるため、個別株の取引による値上がり益はメディアでも注目されやすいです。
株式の価格は、その会社の業績や財務内容、景気や金利といった経済的要因を反映して日々変動しています。

配当金

株式会社は、業績が伸びたお礼として、株主に利益の一部を配当金として還元することがあります。
日本の場合、配当金を年に1回もしくは2回出す企業が多いです。ただし、会社によっては利益があっても配当金を出さない場合があります。
株主優待
株主優待とは、会社が株主に向けて自社商品やサービスなどを提供する制度のことです。配当金とは別に、プレゼントのような意味合いで贈られます。
近年、個人株主を増やすために株主優待を充実させる企業が増えており、それ目当てに株式を購入する人も少なくありません。
株式投資の基本
ここでは個別株への投資に関して、基本的なポイントをまとめます。これらを押さえることで、より株式投資のイメージがはっきりするでしょう。
どんな利益を求めるか?
利益は「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」に大別されます。
キャピタルゲインは保有する資産の売買によって生まれる利益のことで、個別株投資では値上がり益が該当します。
一方、資産を保有していることによって得られる利益をインカムゲインと呼び、個別株投資では配当金と株主優待が該当します。
それぞれのメリット・デメリットは下記の通りです。個別株投資をする際には、どちらの利益追求に比重を置くか決めることが重要です。
メリット | デメリット | |
キャピタルゲイン(値上がり益) | 短期間でも大きな利益が狙える | 状況によって元本割れのリスクがある |
インカムゲイン(配当金、株主優待) | 継続的な利益を期待できる | 大きなリターンは見込めない |
個別株の分類
日本の株式市場には、3800社を超える個別株があり、このうち東証プライム市場(旧東証一部)上場の銘柄は1800社を超えています(2022年7月時点)。
個別株には把握しきれないほどの銘柄数があるわけですが、大まかなカテゴリーとして「大型株」「中型株」「小型株」に分けられます(東京証券取引所の定義)。
大型株 | 東証プライム市場上場銘柄の中で、時価総額と流動性が高い上位100銘柄 |
中型株 | 大型株に次いで時価総額と流動性が高い上位400銘柄 |
小型株 | 大型株・中型株に含まれない銘柄 |
これは株価の高い・安いで決まっているわけではなく、時価総額や流動性などを基準に区分されるのが一般的です。
これらの特徴は、値動きに現れます。大型株は取引量が多く、株価の変動が比較的穏やかです。その一方、中型株、小型株は大型株に比べ取引量が少なく、注目が集まると株価が大きく変動する傾向があります。
投資に必要な費用
株式の購入価格は、「株価×株数(+手数料)」で決まります。国内の株式は100株単位で買うのが基本で、例えば600円(1株)の株式を購入する場合、費用は6万円(600円×100株)程度になります。
株価は会社ごとに異なるため一概にはいえませんが、10万円程度あれば多くの銘柄を買えます。ただし、一部の有名会社では、100万円以上が必要な場合もあります。

リスクを正しく知る
投資は、預貯金とは異なり、元本割れする可能性があります。そのリスクを受け入れるからこそ、トレードオフの関係にあるリターンが期待できるのです。
どのような場合に元本割れする可能性があるのか理解し、リスクと上手に向き合いながら、利益を追求していく姿勢が重要です。
価格変動リスク | 株価の変動により、株式を売却する際の受取金額が購入金額を下回る可能性があります |
倒産リスク | 株式を買った会社の経営状況が悪化し、万が一倒産した場合に、保有する株式の価値がゼロになる可能性があります |
流動性リスク | 市場の流動性が失われると、株式を買いたいときに(売りたいときに)、買えない(売れない)可能性があります |
個別株投資の始め方
個別株投資を始める前には、しっかりと運用方針を決めることが重要です。それを明確にしてから、証券会社選びや銘柄選びを行うのが良いでしょう。
運用方針を決める
投資を始めるにあたって大切なのは、事前に「投資目的」「運用期間」「投資額」を決めておくことです。投資の土台となる部分なので、しっかりと固めておく必要があります。
投資目的 | 何のために投資を始めるのかが明確になれば、追求するリターン額や、リスク許容度なども明らかになります。投資目的は「老後の資金のため」「子供の教育資金のため」など具体的にすると、適切な銘柄選びや資金管理に役立ちます |
運用期間 | 短期的な利益を追求する短期投資と、将来を見据えてじっくり資産を増やしていく中長期投資の2種類が考えられます。前者は「リスクは高いがリターンも大きい銘柄を選ぶ」、後者は「リスクは低いがリターンも小さい銘柄を選ぶ」というパターンが多いです |
投資額 | 投資はあらかじめ決めた範囲の金額で行うことが基本です。生活費や緊急資金を確保した上で、それ以外の余剰資金で始めましょう |
証券会社選びのポイント
個別株は証券会社を通じて取引することになります。しかし、いろいろな証券会社がありすぎてどこを選べばいいか分からない方も多いでしょう。
そこで比較検討のポイントにしたいのが、「売買手数料」「取扱商品のラインナップ」です。
売買手数料 | 個別株は買うときも売るときも手数料がかかり、その金額は証券会社によって大きな格差があります。基本的に、ネット証券の方が、店舗を構える総合証券よりも手数料が安い傾向にあります |
取扱商品のラインナップ | 一口に株式といっても、国内株式もあれば海外株式もあり、また単元未満株(1株単位で取引できる株式)もあります。これらの取扱いは証券会社によって異なるので、どの株式を取引したいかによって会社選びをする必要があります |
取引したい証券会社が決まったら、証券口座を開設しましょう。
会社によって提供される分析ツールや情報、サービスにも違いがあるため、無理に一社に絞る必要はなく、複数の証券会社で口座を開設し、いろいろと試して良し悪しを比較するのも1つの手です。
まとめ
個別株は、キャピタルゲインとインカムゲインのどちらも狙える金融商品で、短期的な投資にも中長期的な投資にも取り組むことができます。
特に運用方針をしっかり定めて始めることが重要です。株式投資には、その会社を応援するという意味合いもあります。応援したい会社の個別株から始めてみるのも、1つの考え方です。