【サラリーマン投資家】失敗を経て長期配当株投資で成功した会社員投資家に聞く高配当株の魅力

株式投資に失敗はつきものです。成功している投資家の多くは過去の失敗が、自身の投資スタイルを形成する礎となっているといいます。

インタビュー企画の初回は日本の配当株専門の現役サラリーマン投資家として活躍されている長期株式投資さんにお話を伺いました。日本の配当株に長期投資をする投資スタイルを確立した長期株式投資さんの経験と知識は、長期の資産形成に役立つことでしょう。

長期株式投資さん_ビブロメディア

長期株式投資さんの失敗談「今思えば良くない方法でした」

最初は雑誌などから勉強していたものの……

-投資を始めた際の勉強方法を教えてください。

長期株式投資さん(以下長期さん):主に投資雑誌を読んでいました。2004年に株式投資を始めたので、現在ほど種類はなかったのは覚えています。

ただ当時から会社四季報やダイヤモンドザイはありましたので読んでいましたね。会社四季報だと分厚かったので、四季報プロという500銘柄ほどをピックアップして掲載していたものを読んでいました。

-投資雑誌などは、どういった部分に注目して読んでいましたか?

長期さん:理論株価というものに注目していました。それで今の株価と比べて安ければ買ってみようと。理論株価が3000円で、実際に株価が2000円だったら割安じゃないか?その差がリターンに繋がるのでは?と考えながら読んでいましたね。今思えば、良くない方法なのですが……。

投資を始めた当初は投資指標などが全く読めず、投資を勉強するような情報も多くはありませんでした。他には無借金で利益を上げている会社などにフォーカスして新興株を中心に投資を行っていました。正直、いい投資とは言えませんけどね。

また、当時の2ちゃんねるなどの掲示板で情報を取ったりもしていました。いい情報はほとんど掲載されていなかったのですが、稀に面白い情報も落ちていました。その情報を元に何も裏付けの無いまま投資をしていたので、当然失敗しました。

一番の失敗は「新興株への投資」

-失敗という言葉が出ましたが、これまで投資してきた中で一番の失敗を教えてください。

長期さん:新興株への投資で、理論株価を信じすぎてしまった。自分のシナリオに凝り固まって投資してしまったんです。ライブドアショックが起きた時の話ですが、サミーネットワークスという株を144万円で買ったのですが、10万円を切るくらいまで下がってしまいました。理論株価がどうやって算出されているかを理解せずに使ってしまった最悪のケースです。

新興株なので成長性が高い株なんですね。そしてその成長が続くという前提で理論株価が算出されるんです。実際その成長が続くことはありえないんです。要するに自分が理解していないものに投資をしてしまったというのが最大の失敗です。

また当時サミーネットワークスを買った発想が無借金という点です。サミーの子会社なので無借金なのは今思えば当然です。また無借金で利益を上げているなら事業は上手くいっているんだろうと。当時は上場したばかりだったので当たり前の話なんですが。こういう視点も全く持っていなかったです。

教訓としては自分のシナリオを信じ過ぎずに、常に疑いを持って投資することが大事ということですね。あとは最初から大きい金額を1つの銘柄に投資しないということです。知らないものには投資をしないことが一番です。

投資で失敗する原因は「理解不足」

-理解してないものに投資してしまうと、どうしても失敗してしまう。

長期さん:そうですね。上手くいけばいいんでしょうけど、上手くいかなかったときに多分相当後悔すると思うんですよね。だいたい適当な投資をすると、まずうまくいかないですね。まぁ、時間軸は色々あると思うんですけれども、例えば5年後に良かったって思えるのはほとんど無いんじゃないかなと思いますね。理解できないものに投資しない方が後悔することも、たぶんないと思います。

-どうして投資の失敗は起きてしまうのか?

長期さん:失敗は絶対してしまうと思うのですが、知識不足や相場の読み違いも原因になりますかね。あとは自分の過信とかですかね。

失敗を経て長期配当株投資という投資スタイルに

『株式投資の未来』という本が転機に

-新興株投資をやめたのはいつ頃ですか?

長期さん:新興株の暴落を機に新興株投資の熱が冷め、大型優良株への投資にシフトしました。長くは続かないなと思ったんです。そこから本を読んだりして色々と勉強しました。

今でも考え方のベースにしているのが、ジェレミー・シーゲル氏著の『株式投資の未来』という本です。長期投資がメインの内容です。アメリカ株の話になるのですが、最もリターンが高かった株がフィリップモリスなんです。いろんな社会的批判を受けながらも、安定した配当を出し続けている株に投資して、株価が安い時にその配当を再投資することによってリターンを加速させるという理論です。この本を読んで、今の長期配当株に投資するというスタイルに落ち着きました。

※フィリップモリス:世界最大のタバコメーカー

投資の成功パターンを確立

ーさまざまなご経験を経て今では個人投資家として成功していらっしゃいますが、投資の成功パターンを教えてください。

長期さん:基本的に配当株投資は続けていればリターンが上がってくるという発想なので、成功の定義は難しいですね。投資を続けることを成功とするのであれば、少しずつ株を買っていって配当の記録をつけるなど、地道に積み上げていくのが成功の秘訣かなと思います。

ただ一番簡単なのは、暴落しているときに買えればほぼ間違いなく儲かりますので、その時に買えるかどうかだと思います。暴落は何をもって暴落と判断するかというのがポイントです。

GPIFが試算している日本株のリターンが5%くらいで、リスクが20%ぐらいだったと思います。そうすると一標準偏差の中に収まる水準がプラス5%から±20%となります。この間に収まっている確率が68%くらいなので、日経平均がマイナス15%くらいの下落であれば、まだ暴落という認識はできないと思います。二標準偏差(マイナス35%)の水準まで広げると、起こる確率が落ちてきますので、そこで暴落と判断して、少しずつ買っていき投資額を大きくしていくという考え方もありだと思います。

-割安な時に株を買っていくということですね。

長期さん:はい。あと私がよく話しているのがPBR、純資産倍率というものです。日経平均株価の純資産倍率は0.81倍っていうのがリーマンショックの時で、それが歴史上の一番安い時なんです。コロナショックの時も0.82倍で止まってますので。基本的にはその辺りが下限になるだろうと考えているんですよ。

今の日経平均でpbrの0.8倍ぐらいだと19,000円ぐらいなんです。歴史上0.8、0.9倍になることはほとんどないので1.0倍を目安に買えば、あまり負けることはないと思います。今の日経平均の水準で言うと23000円くらいですかね。

※株価純資産倍率(PBR):株価と企業の純資産の関係を表している指標。一般的にPBRが低いと割安とされている。

高配当株の魅力と配当株投資の注目ポイント

高配当株の魅力

-さまざまな投資の経験を経て、現在の長期配当株投資という投資スタイルを確立されたと思いますが、配当株投資の一番の魅力は何でしょうか?

長期さん:定期的な配当収入が見込めるというのが一番の魅力だと思います。長く投資を続けようと思うと、一般的には長期的な目標と、短期的な成果が大事と言われているかと思います。短期的な成果としてキャピタルゲインがあればいいのですが、株ってなかなか自分の思い通りに動いてくれません。

ただ配当金の支払いは年2回実施している企業が多いので、少なくとも半年に1回は配当金の振込があり、自分が投資しているという実感が持てるのは大きいと思います。最近は累進配当を掲げている企業も多いので、年間いくら投資をしたら配当がいくらもらえるかを考える。またその配当が将来にわたって続き、累進配当により配当金の額も増え続ける。そうやって配当を積み重ねていくことが、投資のモチベーションに繋がるという側面もあると思います。

※累進配当:配当金を減らさず、配当水準を現状維持、または増配し続けること

配当株投資の注目ポイント

-配当銘柄を購入する際に最も注目するポイントは?

長期さん:一番注目しているのはやっぱり業績ですね。業績が良ければ、いずれ株価も付いてきますので、今の現状の株価に対して業績がどうかっていう部分が大事だと思うんですよね。

あとは業績が安定しているかどうかっていうのも、大事なポイントだと思っています。なかなかその業績のブレが大きいと、今の株価が安いのか高いのかという判断が難しくなってしまうんですよね。そのため一定程度業績が安定している企業、例えばNTTとかだと一株利益の推移というのはある程度安定してます。そのため今の株価が高いのか安いのかっていう判断がある程度の精度を持ってできますので、判断がしやすい銘柄を安い時に買うことは意識してます。

-業績が安定している企業というのは、業績が安定して伸びている企業のことですか?

長期さん:基本的には伸びていることに越したことはありません。ただ業績、もとい純利益が安定して横ばいであったとしても、自社株買いの実施などにより一株利益を伸ばすことができます。一株利益の推移を見て、伸びていれば問題はないと思っています。

-定期的に銘柄の入れ替えなどのメンテナンスはしていらっしゃるのでしょうか?

長期さん:メンテナンスは基本的にほとんどしないですね。買ったら売らないというスタンスですので、メンテナンスをする必要がない。将来にわたってずっと持ち続けられるような株を、適正な株価の時に買えば売る必要はないと思うので。

リバランスはやっぱり必要だとは思うのですが、それは株式を売却して、一定程度のバランスを保つという話ではないです。買いを控えることですね。配当金が入ってくることでキャッシュポジションが増えていきますから。高い時は買わないことで資産の比率を保つことを意識しています。要するに、安い時に地道に買っていけば、一定程度の現金と株式の比率は保たれるかなと思います。

※キャッシュポジション:投資に回すことのできる手元資金のこと

これから株式投資を始める初心者に向けて

株式投資を始めるタイミング

-昨今の相場環境は難しいようにも思えますが、初心者が投資に挑戦する環境としてはいかがですか?

長期さん:長い目でみると逆にありだなと思いますね。一番怖いのはいい時に投資をして、暴落を迎えることが一番危ないパターンじゃないかなと思うんですよね。日経平均に関しては、それほど今は下落していると思ってないですが、逆に今みたいにそんなに良くない状況の中で始めると、いい状況はあんまり知らないことになります。株価があまり上がらないことに耐性が付き、株価の上昇をそれほど期待しなくなります。そして、ふと気づいた時にリターンが上がっているぐらいの方が良いような気がします。

自信過剰になると、おそらくあまりろくなことがないんでね。今は少額で投資ができる手段がいっぱいありますので、昔みたいに単元株で買う必要もないですから。勉強する期間というふうに割り切って、一株づつ、ちょっとずつ買っていくとかは全然ありだと思います。

株式投資の知識は実践の中で養う

-勉強するためにはすぐに実践と言われることが多いですがいかがですか?

長期さん:働いている方であれば、おそらく定年後のキャッシュフローを確保する目的で投資すると思うんですよね。そうすると可能な限り、どんな状況でも早く始めた方がいいと思います。短期的には損することもあると思いますが、経験を積むことの方がはるかに大事だと思います。

少しずつ投資して相場に慣れる。そして自分がある程度、経験を積んで判断が若干でもできるようになってきたら金額を増やすという形の方がいいかなと思いますね。今だったらミニ株投資で100株ではなく1株ずつ買うことができますから。少しずつ、期間を分けて買うこともいい手法ではないかと思います。

-少額から始めた方がいい?

長期さん:例えば1株投資だとそんなにストレスがないんじゃないかなと思うんですよね。買った後株価が下がっても1株や、少額で買い増しをする。すると取得単価も下がりますし、下落相場だとその買い方の方がリターンが、大きくなりますので投資しやすいと思います。

お金を儲けるとかじゃなくて、資産運用のいろはを学ぶというか、株式のいろはを学ぶことを意識してほしいです。1、2年ぐらい試しにやってみるっていうスタンスで臨めば、実力もついてくると思います。そうすると長く続けられる土台を自分で作ることができますし、一生の財産になると思います。そこに至る前にやめてしまう人が多いですよね。特に下落したらやめてしまう人が多い。少しでも長く続けられるような投資家が、一人でも多く増えてくれたらなと思っています。

株式投資初心者におすすめしたいこと

-最後にこれから株式投資を始める方に向けておすすめしたいこと教えてください。

長期さん:長期的な投資で一番大事なことって単純に続けられるかどうかだと思うんですよね。どんな相場であっても、退場せずに今まで通り継続できるかが大事だと考えています。その手段としては、一株ずつ買っていくっていうことと、投資の成果を自分で確認できるように、配当の記録をつけるっていうのはおすすめしたいですね。

実感を持てるように自分で考えて試行錯誤しながら続けるっていうこと。それが続けるということに繋がると思います。最初はその勉強するのを目的としてもいいかもしれない。短期的に何かその成果を求めずに、少しずつ学びながら長く続けた結果として、リターンが絶対伴ってきます。

そういう発想を持って投資してもらえれば、個人投資家の裾野も広がるかなと思います。ただ、銘柄を選ぶのは結構難しいと思います。手前味噌ではありますが、私の書籍の中で長く持っても安全だろうという銘柄を紹介しています。ブログでも紹介しています。そういったものを参考にしていただきながら、最初は安全性の高いものを少しずつ買ってもらい、少しずつ学びながら、投資家の練度を上げてもらいたい。以上のことを意識して、投資を続けてもらえればいいなと思います。

-本日は貴重なお話ありがとうございました。


長期株式投資さん

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著書:『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』

※このインタビューは2022年10月1日に実施したものです。

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